規制改革推進会議で明らかにされた医療機器広告規制の矛盾

2021年も残すところあと2週間ほどとなりました。コロナ禍のため、時間が長くも短くも感じられたこの2年だったように思いますが、皆様は残り僅かとなった2021年をどう過ごされるご予定でしょうか?

さて、今回の記事では、今年度の内閣府規制改革推進会議 医療・介護WGでのトピックを取り上げたいと思います。規制改革推進会議は、昨年と同じように9月から始まっており、医療・介護WGの構成委員も刷新され、昨年河野前大臣の下で議論された様々なトピックのフォローアップに加え、牧島大臣の下で新たなトピックの議論も開始されています(1)

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活発になり始めたデジタル療法の国内開発

みなさま、大変ご無沙汰しております・・・!Digital Health Times編集者です。前回の記事公開から約4ヶ月近く経っていることに慄いており、また編集者としての力量不足を感じております。不定期ではございますが、今後も記事を公開していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、今回の記事は、10月9、10日に開催された第25回遠隔医療学会(1)をトピックに取り上げます。新型コロナウイルス感染症の流行により、昨年は完全オンラインとなった遠隔医療学会ですが、今年はオンラインと現地のハイブリッド開催となり、編集者も現地参加しました。久々の現地参加は、色々な方とお会いして交流を深められる機会となりました。オンライン参加も現地参加も、それぞれで良い面がありますね。

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DVGから見えるドイツのデジタルヘルスへの期待

昨年以降、日本でも医療機器に該当するプログラムを含めたデジタルヘルス製品の議論が活発になってきています。中央社会保険医療協議会(中医協)では医療機器プログラムに係る保険償還の在り方について、薬事・食品衛生審議会では医療機器プログラムの薬事承認審査の在り方についてそれぞれ議論が開始されています。

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治験における「同意」の遠隔化

新型コロナウイルス感染症(以下「COVID-19」という。)が世界的な社会問題となって早くも1年半が経ちました。この間、類を見ないスピードでワクチンが開発され、国内でも接種が開始され、国内でも接種が進む中で、流行収束への期待が高まっています。一方で、未だ移動制限などが続く中、分散型臨床試験(Decentralized Clinical Trial、以下「DCT」という。)の試みは依然として注目されています。今回の記事では、治験における様々なプロセスの中でも重要な一つとなる「説明同意プロセス」の遠隔化、remote consentについて考察していきます。

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医療情報安全管理ガイドライン第5.1版発行によるクラウドサービス事業者への影響

COVID-19が大流行し、これまでオンサイトで行われていた様々な事象がオンラインに移行されるとともに、サイバー犯罪が増加した2020年。ヘルスケア領域においても、同年3月に米国保健福祉省が大規模なDDos攻撃に晒され手術が何件も取りやめとなり、9月にはCOVID-19ワクチンを研究していた英国製薬会社に、またその1ヶ月後には英国保健省に何者かが攻撃を仕掛ける事件が発生するなど、サイバー攻撃の脅威は高まり続けています。(1)

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デジタルヘルスのメッカを目指す京都大学の挑戦

2021年3月2日、京都大学デジタルヘルスセミナー「SaMDを巡る動向と京都大学の新たな取組み」がオンラインで開催されました(1)。2020年は、医療機器プログラム(Software as a Medical Device、以下「SaMD」)に様々な観点で注目を集まりましたが、このSaMDを巡る規制改革や国際的な動向についての最新情報の紹介とともに、京都大学において始動しつつあるデジタルヘルスに関する2つの取組について本セミナーで公開されました。今回は本セミナーの内容をご紹介します。

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オンライン診療のサイバーセキュリティと医療ISACの試みについて

2021年2月、⽇本遠隔医療学会スプリングカンファレンス(1)が開催されました。その中で「オンライン診療時代のサイバーセキュリティ医療 ISAC の試み ―令和 2 年度厚⽣労働⾏政推進調査事業―」というワークショップがあり、弊社のセキュリティ担当である坂本が演者として参加しました。

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小林化工の事例から考える医療機器プログラムの品質保証の重要性

SaMDシリーズ⑦

2020 年 12 月、ジェネリック医薬品メーカーである小林化工社が製造する抗真菌薬(水虫治療薬)に睡眠導入薬が混入するという事件が起こりました。当該製品を服用した患者2人が死亡した他、200 人を超える患者被害が報告(1)されており、原因究明のため厚生労働省、福井県、PMDA による立ち入り調査が行われました。その結果、厚生労働省は、小林化工に対して116日間という業務停止命令の処分を下す方針であると報道(2)されています。また、これまでの経緯からこの製品にとどまらず他の製品においても製造工程や品質の不備が発覚し、12成分21製品の自主回収に至っています。(3)

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