Apple Watch ECG appの国内承認から見る「医療機器プログラム」

2020年9月7日、デジタルヘルス領域で気になるニュースが入ってきました。2018年に米国で展開開始されたApple Watch ECG appが「Appleの心電図アプリケーション」「Appleの不規則な心拍の通知プログラム」という製品名で、日本でも医療機器として認可(2020年9月4日付)されていたことが公益財団法人医療機器センター(以下、「JAAME」という。)の医療機器承認速報により判明したためです。なお、本件については、JAAMEより公式声明がでていますのでこちらも合わせてご確認ください(1)

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国内の医療情報セキュリティに関する歴史 〜 3省3ガイドラインを中心に

医療情報(を含む個人情報)は個人情報の中でも機微な「要配慮個人情報」に該当し、その価値は1件あたり数万〜数十万円ともいわれています。また、医療機器へのサイバー攻撃による事故は、人命に直結しうるため、誤作動や予期せぬ停止は絶対に起こってはならないことです。

昨今、医療情報及び医療情報システムはサイバー攻撃のターゲットになっており、海外では2015年にシンガポールで欧首相含む150万人の情報流出(1)するなど多くの事例が起こっています。国内でも2018年に電子カルテシステムがランサムウェアに感染して1,000名以上の電子カルテデータが閲覧できなくなる(2)など、国内外問わず予断を許さない状況となっています。

今回の記事では、日本の医療業界におけるサイバーセキュリティの取組について、ガイドラインの歴史についてご説明し、海外との比較、他業界との比較、といったテーマを次回以降の記事で取り扱っていきたいと思います。

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日本における治験へのオンライン診療の導入状況と今後の方向性

前回のコラム(1)では、バーチャル治験の概要と、その中における治験におけるオンライン診療に関する世界の規制や導入事例をご紹介しました。今回は国内にフォーカスをあて、オンライン診療を用いた患者中心の治験について、規制の動向やオンライン診療の導入の方向性を考えていきます。

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バーチャル治験、知っていますか?〜臨床試験のDXについて〜

バーチャル治験、という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の拡大により社会は大きな影響を受けており、日々の生活の中へソーシャルディスタンシングやリモートワークといった新しい行動様式を取り入れていく変化が求められていますが、この変化はヘルスケア領域における医薬品の研究開発においても例外ではありません。

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COVID-19で加速した中国のオンライン診療

多くの企業がサービスを提供していることから、中国は米国と並ぶオンライン診療の先進国と言われてきました。世界でもいち早く新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の感染が拡大し、多くの死者を出した中国はこの非常事態においてどのようにオンライン診療を活用してきたのでしょうか。今回は中国におけるオンライン診療の現場についてお伝えしたいと思います。

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オンライン診療先進国、米国の現状

いまや、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の患者数、死者数ともに世界最多となった米国。オンライン診療の先進国と言われる米国は、この難局にどう立ち向かおうとしているのでしょうか。今回は米国におけるオンライン診療を取り巻く環境は足元でどう変わっているのか、その現状について簡単に紹介したいと思います。

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COVID-19でオンライン診療はどう変わったか

2020年4月13日のコラムでは、日本においてオンライン診療がどのように制度化されてきたかを振り返りました。これまで要件が少しずつ緩和されてきたオンライン診療ですが、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の流行拡大により状況が一変しています。今回はCOVID-19によりオンライン診療を取り巻く環境がどのように変わったかをご紹介したいと思います。

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日本で人工呼吸器は増産できるか?

 新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」。) の患者数が世界各国で増加し、それに伴い重症患者数も急激に増えたことにより、ニューヨークなどパンデミック地域における医療関係者は大きな問題と直面することになりました。それは、重症患者の治療に必要な人工呼吸器の数が足りない、ということでした。

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今、注目の「オンライン診療」日本における普及の道のり

新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」と記す。)の流行をきっかけに、オンライン診療が日本でも注目を集めています。COVID-19以外の疾患を抱えた人が病院に行くと、院内感染のリスクが高まります。そうした事態を避けるための1つの手段として、オンライン診療を活用する動きが広まってきました。当コラムではオンライン診療がこれまで我が国でどのように制度化され、普及してきたのかを振り返りたいと思います。

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オンライン診療に関するMICINの基本的考え方

新型コロナウイルス感染症流行拡大の中、対応に苦慮される医療機関や不安を抱える患者の悲鳴に近い声が弊社にも次々と届いています。

「マスクやガウンがなく、発熱患者の対応が難しい」「発熱以外の患者に感染拡大させることは避けたい」という医療機関や薬局の声、「持病があるが病院に行くのが怖い」「熱が出ているけれど病院に行っていいのかわからない」という患者の声。

この災禍に、オンライン診療をサービス提供する我々には何ができるのだろうか、と日々必死に考え、サービス開発・サポートを続けながら、時には政策を担う方々に皆様の声を届け、対応して参りました。

この1ヶ月間で、オンライン診療を取り巻く環境は大きく変わりました。我々は、2016年からオンライン診療のサービスを4年以上に渡って提供し、また、これまでにも感染症対策としてのオンライン診療活用の可能性を模索してきました(内閣府サンドボックス制度を用いたインフルエンザのオンライン受診勧奨の実証など)が、今回、かつてないほどにオンライン診療の必要性を感じています。

今週からオンライン診療での初診が認められ、医師の責任の下で医学的に可能であると判断した範囲において、初診からオンライン診療が実施できる制度となりました。また、一定の診療報酬が算定できるようになったことを受け、この緊急事態におけるオンライン診療に関わる制度は概ね整理されたと言えます。

ここからは、この制度環境のもとで、いかにオンライン診療を活用していくかが重要になります。これまで2,000施設を超す医療機関にオンライン診療サービスを提供してきた事業者として、我々の基本的な考え方をここにお示しします。

現時点でまだまだ、不確定要素の多いオンライン診療ですが、これが現段階で特効薬がない感染症への有効な『見えないマスク』『IT(オンライン)トリアージ』となること。適切に使用し、『諸刃の剣』とならないことを願ってやみません。

せたがや内科・消化器クリニック 富沢賢治院長のブログより https://tokyo-onaka.com/

これは、実際にオンライン診療を活用されている医師の言葉であり、また我々の願いでもあります。

オンライン診療が医療機関で働く医療従事者の皆様の「見えないマスク」として活用されることを信じ、そして最前線でこの感染症に立ち向かう全ての医療従事者の皆様に敬意を表し、これからもオンライン診療を必要とする全ての方々への支援に努めます。

株式会社MICIN 代表取締役CEO 原 聖吾