規制改革推進に関する中間答申が公開!オンライン診療に関する議論状況(前編)

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前回の記事(前編(1)後編(2))では、11月20日に開催された規制改革推進会議でオンライン診療が議論されたことについて紹介しました。11月20日の議論で未消化となっていた部分について、改めて2023年12月18日に開催された健康・医療・介護WG(3)での議論がされています。この会議での議論を踏まえつつ、12月26日に公開された規制改革推進に関する中間答申(4)からオンライン診療に関する今年の規制緩和の方向性について取り上げていきます。

11月20日のオンライン診療の受診が可能な場所をめぐる議論について

前回の記事でも紹介の通り、現オンライン診療は、患者が受診できる場所が医療提供施設または居宅等のいずれかに限られています。具体的には、2018年に策定された「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(5)が定める通り、患者がオンライン診療を受ける場所は「対面診療と同程度に清潔かつ安全」であり、「プライバシーが保たれる物理的に隔離される空間」である必要があります。また医療法において居宅等に該当する施設(例えば養護老人ホーム)であっても、公衆または特定多数人に対してオンライン診療を提供する場合は診療所の届出が必要となり、医師の駐在や管理者の設置等の安全体制を構築する義務が発生します。詳しくは前回の記事(1)をご覧ください。

11月20日の会議(6)では、ヒアリングのため出席した団体・自治体や委員から、衛生上のリスクが高まらないことを理由に通所介護事業所等を医療法上の「居宅等」に位置づけ、診療所の開設を不要とするべきという意見が述べられました。一方、厚生労働省からは衛生管理を理由にそれらの場所において医師不在の診療所を特例的に開設しオンライン診療を実施することに消極的な回答がなされ、規制を所管する厚生労働省と規制改革推進会議との意見のが際立った会議となりました。

前回会議とは一転、厚労省が通所介護事業所等での実施を認める

ところが、11月20日の会議から一転して、12月18日に開催された会議では、厚生労働省からは前回の議論を踏まえた新たな規制緩和の方向性が示されました。

通所介護事業所や公民館等を療養生活を営む場であるとして、「オンライン診療できる場である」ことを明確化する方針であることが明らかになりました。通所介護事業所に看護師等がいれば診療所の開設は不要となります。また通所介護事象所が利用者に対してオンライン診療をしている旨を周知することや、オンライン診療の様々なサポートをすることが可能となりました。そして事後的な検証を行う観点から実施状況の報告を行うことが求められることになりそうです。

また、なお書きにおいて示された「医療補助行為や医療機器を使用する場合」については、医師の指示によって看護師が採血することやMRIを用いた医療行為を行う場合を想定しており、自動血圧測定器や体温計等の家庭でも用いるような医療機器を用いる場合は当たらないと説明しています。

この厚生労働省案に委員から肯定的な意見が多く寄せられましたが、海外で流通している医療機器を例に出し、「今の技術を前提に規制をかけて将来の技術普及を阻害する可能性がある(佐藤座長)」ことを懸念する声も上がりました。今後ガイドライン等において「医療機器の発展可能性を踏まえて(宮本厚生労働省大臣官房審議官)」通所介護事業所等で用いることができる医療機器の要件が示される予定です。

また、この点については、12月26日に公表された規制改革推進に関する中間答申(案)(4)では次のように記載されています。

厚生労働省は、通所介護事業所等についても、居宅と同様、療養生活を営む場所として、患者が長時間にわたり滞在する場合にはオンライン診療を受診できる場であることを明らかにする。あわせて、オンライン診療時に、医療補助行為や医療機器の使用等がされないこと及び自らが医療提供を行わないことを前提として、居宅同様に、通所介護事業所や職場などの療養生活を営む場においても、新たに診療所が開設されなくとも、患者がオンライン診療を受診できることを明示する。なお、医療補助行為や医療機器の具体については、明確化する。さらに、通所介護事業所、学校等が、医療法(昭和23年法律第205号)の各種規制(清潔保持、医療事故の報告、報告徴収等)の対象とならないこと等を明確にした上で、当該施設の利用者等に対し、当該施設内において、オンライン診療の受診が可能であることについて周知すること及び機器操作のサポートを当該施設の職員等が行うことが可能であることを明確化する。

規制改革推進に関する中間答申

必要性に応じて、都市部でも医師非常駐のオンライン診療用診療所の開設が可能に

オンライン診療のための医師非常駐の診療所についても、僻地という地域限定を外し、各都道府県が必要性を認めた場合に限り都市部等においても開設できるようにすると明らかになりました。厚生労働省は今後、患者の急変時における対応ができる体制の担保をすること、実施状況の把握・検証をすることを都道府県に求める考えです。

厚生労働省が示した案について委員から「必要性」の定義について意見が多く出ました。同会議には千葉県の熊谷知事から「都道府県ごとのローカルルールが跋扈しないように一定の基準を設けるべき」と意見が提出されていました。厚生労働省は必要性の定義として、「患者のニーズや対面診療によることが難しい理由」を挙げており、特に想定される高齢者以外でも対象とする考えです。今後、通知やガイドライン等において詳細化される予定です。

この点については、規制改革推進に関する中間答申(案)(4)では次のように記載されています。

厚生労働省は、へき地等に限ってオンライン診療のための医師非常駐の診療 所を開設可能とする旨の医療法の運用(医政総発0518第1号令和5年5月18日厚生労働省医政局総務課長通知)を改正し、①「へき地等」か否かを問わず、患者の必要に応じ、都市部を含めいずれの地域においても、オンライン診療のための医師非常駐の診療所を開設可能であることとする。②その際、 診療所の開設に関する要件を設ける場合には、オンライン診療の受診を当該 診療所において希望する患者が存在することを示すなどの簡潔な説明で足り ることとするよう検討する。さらに、事後的な検証の観点から、実施状況の 報告を求め、オンライン診療のための医師非常駐の診療所の開設状況及び具体的な事例を定期的に公表するなど、オンライン診療に関する情報発信・環境整備を行う。

規制改革推進に関する中間答申

最後に

規制改革推進会議では各WGでの検討を踏まえ、最終的な答申が2024年6月頃に取りまとめられます。今回の会合でオンライン診療ができる場所に関する議題では一定の方向性が示されました。2024年も継続して審議が開催される予定ですので、今後も注視していきます。

次回の記事では、議題のもうひとつとして取り上げられたオンライン診療の診療報酬上の扱いについてご紹介します。

参考資料

(1)Digital Health Times:「今年も規制改革推進会議がスタート!オンライン診療に関する議論状況(前編)」

(2)Digital Health Times:「今年も規制改革推進会議がスタート!オンライン診療に関する議論状況(後編)」

(3)内閣府:第4回 健康・医療・介護ワーキング・グループ  議事次第

(4)内閣府:規制改革に関する中間答申等

(5)厚生労働省:「オンライン診療の適切な実施に関する指針」

(6)規制改革推進会議:「第2回 健康・医療・介護ワーキング・グループ  議事次第」

※追記(2024/1/17)

ここまでの議論の経緯を踏まえ、2024年1月16日に厚生労働省より通知が発出されています。

厚生労働省(医政総発 0116 第2号令和6年1月16日):特例的に医師が常駐しないオンライン診療のための診療所の開設について

また、通知の発出に伴い、オンライン診療指針Q&Aも更新されました。

厚生労働省:「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&A


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